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国際看護学演習Iを履修した学生2名が、2023年8月19日から26日まで、日本赤十字秋田看護大学の学生7名および日本赤十字看護大学の学生13名とともにスイス・ジュネーブへの研修に参加しました。
国際看護学演習Iは、国際赤十字の活動拠点であるジュネーブで、国際赤十字の関連施設や国際機関を訪問してさまざまな国際救護組織の役割や活動内容を理解し、国際活動における活動理念・方法について自己の考えを深めることと、また国際社会において看護職になにが求められるかを考察することを目的としています。
今年度は新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢など国際的な状況変化があり、4年ぶりの研修となりました。
研修1日目は、イタリア カスティリオーネの赤十字博物館では当時使用されていた医療機器や搬送用の馬車などを見学し、当時の戦場の様子や悲惨なケアの実態など館長から丁寧な説明を受けました。アンリー・デュナンが3日間救援活動をしたギエザ・マジョーレ教会では村の婦人たちと共にデュナンが行った活動について学修しました。
研修2日目のソルフェリーノでは、1年次の科目「赤十字の歩みと活動Ⅰ」で学修した赤十字の成り立ちなど内容をイメージしながら理解を深めることができました。
(写真:赤十字博物館前、ギエザ・マジョーレ教会、アンリー・デュナンの銅像)
研修3日目から5日目にかけてはスイスのジュネーブにあるIFRC(国際赤十字赤新月社連盟)、ICRC(赤十字国際委員会)とともに、UNOG(国連ジュネーブ事務所)、UNDRR(国連防災機関)、WHO(世界保健機関)の国際機関を訪れ、施設見学や貴重なプレゼンテーションを聞き多くの学びを得ました。
UNOGでは国連会議が行われる会議場などを見学し、ウクライナ等での人道的危機状態についての話し合いをされていることを教えていただきました。
(写真:国連会議場)
ICRCでは活動内容について1時間を超える講義をしていただき、ウクライナ情勢での活動内容について学生からの質問に丁寧に答えていただき、学修を深めることができました。
UNDRRでは世界中の人が災害を理解して災害に強い地球となることを目指していることを教えていただきました。
IFRCでは日本赤十字社から派遣されている職員からIFRCと日赤とのかかわりについて学びました。
WHOでは組織とその機能などについて説明を受け、看護部門のチーフオフィサーからは2025年に向けての戦略について教えていただきました。また緊急対応センターにおいて世界の情報を一元化して把握されている様子などを見学しました。
(写真:IFRC(国際赤十字赤新月社連盟)、WHO緊急対策センター)
今回の研修は日本赤十字秋田看護大学および日本赤十字看護大学の学生との合同開催となりました。毎晩の学習のまとめや学修記録を一緒に作成したことによって、意見交換の機会が多くあり、互いに学びを深め共有できたことはとても良い経験となりました。
本研修はウクライナ情勢がある中で赤十字組織や国連組織が実際に第一線で活動をされた方々から組織としての役割とともに具体的な事例を伺うことができました。特に新型コロナウイルス感染症やウクライナ人道危機に対してどのような影響が各組織にあったのか、どのように対応したのかを理解することが出来ました。国際的な救援活動では、異文化の中で感染予防に関する教育を普及することなど、社会や文化的背景を考慮して支援をしていく必要があることを理解できました。
今回の研修では、ほかにもジュネーブ市内を視察する時間もあり、歴史ある街並みやそれぞれの町の歴史を学びながら楽しむことができました。この研修で学んだことを今後の学修に生かしながら将来の夢につなげていきたいと思います。
最後に、この研修にかかわったすべての講師の方々や各機関の関係者の皆様に感謝申し上げます。